2023/10/15 12:40
現在も、ミュージックテープでアルバム等を発表するアーティストはかなりの数にのぼります。
近年では、アナログレコードに続くカタチでミュージックテープの人気も回復傾向といってよいのかもしれません。
とはいえ、音楽を楽しむ環境はデジタル機器が世の主流です。音楽イベントや店舗・通販などでミュージックテープを入手したものの、実はカセットテープの再生機器を持っていない、という状況も多く発生しているのではと思います。
そこで、新しく、或いは改めて、カセットテープ再生機器を入手する場合、入手可能な機器の種類とそれぞれのメリット/デメリット等を綴ってみたいと思います。
(このブログは、2021/12/05初出のブログをもとに最新情報を踏まえて加筆・再構成しました。)
〇はじめに:近年リリースされるミュージックテープは「ノイズリダクションレス」が主流
近年リリースされるミュージックテープの多くは、かつて標準だったドルビーBのエンコードが行われていません。
往年のオーディオ愛好家の方には、品質水準の後退か? と思われるかもしれませんが、技術進歩によるオリジナル音源のノイズ低減、製造工程へのデジタル機器導入、カセットテープへの録音技術の進歩などで、ノイズリダクションなしでも十分な静粛性を保っているミュージックテープが多くあります。

(上記画像:当店にて取り扱い中の製品。いずれもドルビーBなしですが、静粛性は高いです。)
そのため、ノイズリダクション機能を持たない現在のラジカセやポータブル型プレーヤー等でも本来の音質で聴くことができ、ミュージックテープの適用範囲はかつて以上に広がっている、とも言えると思います。
(ご参考ブログ::近年の「ドルビーオフ」ミュージックテープで気付いたこと)
それでは、近年のミュージックテープの再生機器についてです。
〇ポータブル型カセットプレーヤー
家電量販店やAmazon等のネット通販で、2千円台から5千円程度と最も安価に購入できるカセットテープの再生機器です。
カセットテープ音源をMP3ファイルに変換できる機能を持つ製品が多いですが、基本的にはかつてのカセットウォークマンのように、再生音を外付けのヘッドフォンやイヤフォン、あるいはアクティブスピーカーで聴く製品です。
メリットは以下のような点ではないかと思います。
・安価で気軽に購入できる
・小型で場所を取らない
・乾電池駆動以外にUSB給電可能な製品も多く、PCとの馴染みも比較的良い
・製品によっては再生音の周波数特性が相応に広く、低音域から超高音域まで音源に忠実に再生できるものもある
一方デメリットは、往年のカセットデッキの品質に慣れている方には、以下のような弱点が耳につくことだと思います。
・モーターに由来するらしい「ブーン」という感じのハムノイズが結構大きい
・走行系がぜい弱でワウ・フラッターなど回転ムラが目立つ
・ちょっと振動を与えたり、テープの負荷の増減などによって再生中に回転数が変化する
・購入後短期間で故障発生や走行安定性が失われる場合がある
製品としての品質、或いは位置づけは正直なところ、Hi-Fiオーディオよりもトイプレーヤーと言っていいのでは、と思います。
性能や品質がトイプレーヤーのレベルであることを受け入れることができるなら、結構楽しめる存在にもなると思います。

(上記画像:筆者手持ちのプレーヤー)
また、PCからのUSB給電で小さなカセットプレーヤーが動く様子は、見ていて結構楽しいですし、その日の気分や再生する音楽ソースによっては楽しく聴ける製品でもあると思います。
(ご参考ブログ:ポータブルカセットプレーヤー雑感)
〇CDラジカセ
ラジカセは数千円程度の安価な製品から選ぶことができますが、各メーカーの上位機種になると、走行系やアンプ部やスピーカー等に一定のコストをかけて作り込まれています。ミュージックテープの音の良さが相応に発揮できると思います。
現在、生産されているラジカセで、筆者がおすすめするのは以下の製品です。
*ソニー・CFD-S401
比較的コンパクトなCDラジカセ。リモコンなし・SDカード等によるデジタルデータの録再に非対応ですが、カセット部走行系の安定感は現行機種では上位に位置すると思います。
アンプ部の音作りもしっかりしており、明るく健康的で抜けの良いサウンドが聴ける製品であると思います。ハイレゾ対応など高品質のヘッドフォンを接続して聴くのもおすすめできます。
また、タイマー機能なども充実していますので、毎朝FM放送で目覚める、といったことも可能な製品です。

(上記画像:CFD-S401(ホワイト))
(ご参考ブログ:ソニーの上位ラジカセ2台の印象)
*東芝エルイートレーディング・TY-CDX91
こちらも比較的コンパクトなCDラジカセ。カセット録再、ハイポジションテープ再生対応、CD再生、FM/AMラジオ、SDカードを用いてデジタル音源の録音・再生の機能を有し、リモコンも付属、と多機能です。
カセット部の性能は上記の製品に近い安定性が期待できます。
アンプ部の性能も相応に高く、明るく現代的な音質が期待できます。高品質なヘッドフォンの利用もよろしいと思います。

(上記画像:TY-CDX91)
(ご参考ブログ:東芝のCDラジカセについての印象(その1))
〇カセットデッキ
カセットデッキはオーディオコンポの一種。カセットテープへの録音と再生に特化した機器です。
通常、ヘッドフォンの出力端子はありますが、スピーカー等の出力装置を持たず、プリメインアンプ等に接続し、その先のスピーカーやヘッドフォンから音声を出力します。(下図ご参照)

(ご参考ブログ:現在、カセットデッキは何に接続できるか?)
まずは現在新品で購入できる製品の中からご紹介します。
*ティアックW-1200

(上記画像:ティアック W-1200 ダブルカセットデッキ)
ティアックW-1200は現在新品で買える数少ないカセットデッキの一つです。
*録音済みカセット再生時の音質はなかなかに良好
この記事のため、改めて高品質な録音がされているミュージックテープを聴いてみましたが、この製品の再生時の周波数特性は十分にHi-Fiの水準にあることがわかります。
この製品はヘッドやモーターなどの走行系に現行のラジカセ水準のパーツを使用せざるを得ない制約があると思いますが、可能な限り磁気テープ上の情報を引き出し、走行安定性を確保する努力がなされていると思いますし、アンプ部などの回路設計や構成についてもカセットテープの情報を十分に引き出せるよう、細心の配慮がなされている印象を持ちます。
ヴォーカルを中心とするロックやポップス、リズムやパルシブな音が主体のダンスミュージックなどは通常、管弦楽やジャズなどの器楽曲ほどには回転ムラに神経質にならなくてもよいため、この製品はそれらのミュージックテープをHi-Fi水準で心地よく聴ける可能性が高い、と思います。
*Wカセットの利点
カセット部を2つ持つことから、他のレコーダー等で録音したカセットを再生する場合、デッキ1で相性が悪く音がこもるような場合でも、デッキ2なら高音まできちんと出る、といった場合もあります。
(未確認ですが、2つのカセット部はわずかにヘッドの取り付け角度などに違いを設けているのではないかと思います。)
そのためW-1200は、シングルデッキよりも多くのカセットテープを良好に再生できる可能性も高いと思います。
〇録音もしたいなら:往年のHi-Fi性能のカセットデッキ(中古)
上記は再生機として、現在新品で購入できるカセットデッキについて述べましたが、
現在新品で購入できるカセットデッキは走行系など使用できるパーツの制限から、レコーダーとしてブランクカセットに録音するときは、相性の良いカセットテープの選択肢が狭かったり、あるいは期待する水準の録音が困難な場合もあるかもしれません。
2000年頃までにリリースされたHi-Fi性能のカセットデッキであれば、走行安定性がより高く、周波数特性も良好で、またドルビーノイズリダクションは標準搭載、3ヘッド構成やバイアス微調整機能などを搭載する場合もあり、ブランクカセットへの録音時も、音源の鮮度を保って録音ができる、あるいは音質に微調整を加えながら録音できる可能性が高まります。

(上記画像:ティアック V-6030S 1994年リリースの3ヘッド機)
*中古カセットデッキの購入:「ハードオフ」及び同社のネットモールはお勧めできます
良質な中古カセットデッキは時間の経過とともに減少傾向で、かつ新型コロナ禍に伴う「巣ごもり需要」があったためか、ここ3年程で価格相場は上昇し、以前は3万円台で購入できた機種を購入するのに現在は5万-6万円程用意する必要がありそうですが、まだ市場に流通しているのは幸運といえるかもしれません。
ネット上、或いはリアル店舗と、国内に中古カセットデッキを扱うお店は現在も多数ありますが、
個人的な体験から、広くお勧めできるお店として「ハードオフ」及び同社のネットモールが挙げられると思います。
ハードオフは全国に多数の店舗があり、多数のオーディオ製品の在庫があります。そして同社のネットモールでは、全国のハードオフにある商品が一覧・購入できます。
それでも購入の際は、なるべくなら店頭に出向いて現物を確認する、可能ならカセットを持参して再生させてもらって音質などを確認するのがベターです。
また、やや割高になりますが「〇ヶ月保証」など返金保証が付く製品を購入するほうが、後々安心であろうと思います。
(ご参考ブログ:中古カセットデッキを購入する方法一例)
(投稿:舩生好幸・向実庵店主)