2020/07/23 15:07

ソニー、パナソニックに続いて、東芝(東芝エルイートレーディング)製CDラジカセの近年の上位機種のいくつかについて、カセット部を中心に体験と印象などを書いてみたいと思います。


◎TY-CDK8
近年は住宅事情などを考慮してか、CDラジカセもコンパクトな製品が主流といえそうです。その中で、TY-CDK8は比較的大きめの筐体です。

この製品は、近年のラジカセとしては大きめの10cmスピーカーを搭載し、筐体は幅約42cm・高さ20cm・奥行27cmと、押し出しの良いイメージを持っていると思います。出力も、2.5W+2.5Wと外見相応といえます。

その外見から、重低音域から高音域までワイドレンジでスケール感のある音質を想像しますが、聴いてみると意外と中音域主体の比較的ナチュラル傾向です。70年代~80年代はじめ頃のアナログな音作りを思い出します。電子的で色彩的な音楽やフルオーケストラの曲よりもいくぶん古めのロックやポピュラー音楽、歌謡曲などが似合うと思います。

カセット部は、ラベルの文字がそのまま読めるセット方法(正立透視型)で、最初見たとき「カセットデッキのようだ」と感じました。
カセット部の走行安定性は、後継機TY-CDX9/TY-CDK9の方が上回っていると感じられます。ヴォーカル中心の音楽、特にロックなどを聴く際は別に気にならないですが、回転ムラに弱い器楽曲を聴くと、フラッター系の細かい回転ムラが分かり、音に濁りが感じられることがありました。その点からも、ヴォーカル中心のポピュラー音楽の方が得意な製品だと思います。

この製品は多機能でリモコンも付属しますが、この製品のリモコンのレスポンスの良さは特筆ものです。操作に瞬時に反応し、気持ちよく使えます。
この心地よさを後続の製品にも継続できたら素晴らしい、と思うのですが、後継機であるTY-CDX9やTY-AK1のリモコンは、十分なレスポンスがありますが、TY-CDK8ほどの「キレの良さ」は実現していませんでした。コスト等何か制約があったでしょうか。

このリモコンには、トーンコントロールの機能もあり、FLAT(オフ)、ROCK(低音と高音ブースト)、JAZZ(高音ブースト)、CLASSIC(低音ブースト)の切り替えができます。東芝のラジカセはトーンコントロール機能がリモコン側のみなので、なくしたり壊したりしないよう要注意です。

以上、細々したことも含めて書き連ねましたが、
押し出しの良い筐体、青い画面に白い文字が浮き出るディスプレイ、レスポンスの良いリモコンと、ヴィジュアル及び操作感にポイントのあるラジカセで、なおかつ使って楽しい製品です。

◎TY-CDX9/TY-CDK9
前述のTY-CDK8の後継機種として登場したのがTY-CDX9とTY-CDK9です。(写真はTY-CDX9)

両製品とも、TY-CDK8同様にカセット録再、CD再生、FM/AMラジオの機能を有しています。また、再生のみですがカセット部はハイポジション及びメタルテープに対応しています。リモコンも付属します。
TY-CDX9とTY-CDK9の違いは、SDカードを用いてデジタル音源の録音・再生に対応するのがX9で、省略しているのがK9です。
(次の写真:TY-CDK9(W:ホワイト))


世代交代により筐体はコンパクトになりました。幅約32cm・高さ13cm・奥行22cmと、K8に比べると幅10㎝・高さ7㎝・奥行5cmほども小さいです。スピーカーも口径8cmのものを採用していますが、一方で最大出力は3W+3Wと0.5Wずつアップしています。
TY-CDK8と比べて再生音は低音域から高音域までワイドに再現される印象が強まりました。色彩的な電子音楽も、オーケストラ曲なども結構頑張って再生してくれます。
カセット部の性能もTY-CDK8よりも向上したと感じます。器楽曲も安心して聴ける安定感が増しています。
またアンプ部の性能はラジカセの中でもかなり高いものを感じます。音の良いヘッドフォンを利用すればアンプ部の良さを感じられると思います。

個人的には音質重視のグレードは、必ずしも筐体を小さくする必要はないと思っていますが、一方で、コンパクト化することでセールス的にアピールする要素も大きいものと想像します。

◎TY-CDX91
2020年に入って、TY-CDX9の後継機とみられるTY-CDX91が登場しています。

写真を見るとTY-CDX9/TY-CDK9と同じ筐体のデザインを継続している模様で、寸法が変わっていませんし、重量も約2.2Kgで同じです。
「X10」にしないで「X91」(そのココロは’X9.1’でしょう)としたことから、X9のマイナーチェンジ版と想像できます。

プレスリリースによると、TY-CDX9との違いは3点。カラオケ関連を主に、タイマー機能も強化されています。
1. 声の高さに歌いたい曲の音程を合わせられるキーコントロール機能(CD、SD/USB音源に対応)
2. 楽曲再生速度を±5%ずつ±20%まで調整可能で、楽器やダンスの練習に便利なテンポコントロール機能
3. タイマー録音(ラジオ録音)・タイマー再生(ラジオ、カセットテープ、CD、SD/USBに対応)・時計表示機能を追加

上記以外の音質や性能に関する要素は、仕様一覧を見てもTY-CDX9からとくに変わっていないと受け取れます。
とはいえ、アンプ部に微妙な進歩がみられるなど、細部にチューニングや変更が施されているかもしれませんので、
遠からず購入して使ってみなければ、と思っています。

そして、当店の商品としてもご紹介ができればと思っています。