2020/06/10 10:49

2015年頃より、小型のカセットプレーヤーが多くの企業から発売されています。
その後は勢いが収まった感がありますが、今もAmazonなどで何種類もの製品が販売されています。

PCと連携して(のちには単体で可能な製品も)、再生音をMP3ファイルに変換できる、といううたい文句で、月刊誌のオーディオ記事などでも取り上げられたりしていました。

コンパクトで持ち運びしやすく、値段は3千―5千円程度とお手軽でもあり、ご存じの方も多いと思います。
店主も興味本位から、都合4台入手しました。

〇「トイプレーヤー」として、一定の条件下でなら楽しめます。
感想は「ソニーやアイワやパナソニックのような、往年のカセットプレーヤーの安定性を期待してはいけない」けれど「トイプレーヤーとして、一定の条件下でなら楽しめます。」というところです。

先に欠点から書きますと、走行系のトルクがとても細く、走行安定性の面でとても脆弱です。
また、テープと接するヘッドの取り付け位置の精度も疑問が残るところです。
使用するテープとの相性の良し悪しが激しく出ます。

抵抗の少ない46分テープなら目立たないこともありますが、走行系に負担がかかる「抵抗の重い」テープや長時間テープでは、再生スピードが安定せず、テンポとピッチが揺れます。最悪は停止します。ワウ・フラッターも少ないはずはありません。

また、「ブーン」というハム音のようなノイズが結構よく聞こえ、静かな曲では目立ちます。

入手した中には、A面を聴いているとB面の音が混入(当然逆回転で)する製品もありました(あるPCソフトウェアの付属品です)。これはまったく使えませんでした。

そんな性能なので、アナログ音源デジタル化のための送り出しプレーヤーとして、向実庵的にお薦めできるものではありません。
けれど一方で、再生音の音質自体は、結構よかったりするのは侮れないし、ちょっと心惹かれるところです。

機種により、また、個体差も大きいかもしれませんが、筆者が使った製品では、オートリバース機能のある直方体っぽい外観の製品(上記写真の右側)は、高音域までよく伸びる再生音で、聴いていて心地よいです。

また、現役のもう1台はシースルーの外観で、FMチューナー付きのワンウェイ機(上記写真左側)です。こちらは上記の製品よりも周波数レンジは中音寄りの印象ですが、走行系は比較的安定していて、聴いていて相応の安心感があります。
また外出時、某サーキットにて実況放送(サーキットラジオ)が聴けて重宝したこともあります。

「もっとコストをかけて、特に走行安定性をきちんと確保できたらカセットウォークマンの再来として人気が出そうだし、使える範囲はもっと広がるのに。それなら値段が1万円を超えても買ってくれる人はいると思うのだが・・。」
と、使うたびにそんな感想を持ち、どこか惜しい気がしています。