2026/05/09 09:41
2026.5.9
向実庵店主 舩生好幸
本ブログでは、その作業の様子をレポートとしてお届けします。





〇きっかけは4月のコンサート
4月下旬、十数年ぶり位に都内で市民吹奏楽団の演奏会を聴いてきました。
それをきっかけに、これまた十年以上ご無沙汰だった手持ちの吹奏楽作品のCD音源を聴き直してみよう、と考えました。そこで、
CD-R1枚=80分ほど、これはと思う作品を演奏会のように並べて、オーディオ機器の前に座って楽しめるよう作ってみることにしました。
〇短めの作品が多い吹奏楽曲を演奏会風にCD-Rにまとめる
ご存じの方も多いですが、吹奏楽曲は行進曲やオリジナルのクラシック作品、或いはポピュラー音楽や管弦楽曲の編曲作品など、小品や単一楽章の作品、メドレーや組曲、交響曲といった、多彩なジャンルや形式の作品を演奏します。
しかし多くの場合、長い作品でも大抵は25分以内で、管弦楽のブラームスやドヴォルザーク、チャイコフスキーの交響曲のような40分超に達する吹奏楽オリジナル作品はごく少ないです。
そのため、まとまった時間、コンサートのように吹奏楽曲を聴いて楽しもうとすると、CD音源であればディスクの数も増え、都度交換するのも煩わしい感じです。
(これがもしLPレコードだとしたら、なお大変です。)
そこで今回は、吹奏楽作品を収録したCD音源の中から、聴きたい楽曲の音声ファイルを抽出し、前半+後半=二部構成のコンサートの形で、一枚のCD-Rにまとめました。

(上記画像:今回使用した楽曲のCD音源6点と、楽曲を1枚にまとめたCD-R媒体(右端))
〇CD-Rにまとめる曲目・曲順(演奏プログラム)
演奏のプログラムですが、
昭和~平成のスクールバンドでもおなじみだった2人の作曲家(A.リード、J.バーンズ)の作品を集めた2部構成としました。
リードはシェイクスピアの戯曲にちなむ2作品、バーンズは1982年に米国の作曲賞を受賞したキャリア初期の交響曲と、聴きごたえのある作品をそれぞれの中核に据えました。
コンサートの最後によくあるアンコールも、ライブ演奏CDにちょうど良い作品がありましたので入れておきます。
*架空の演奏会プログラム=CD-Rにまとめた曲目・曲順
A:前半の部:アルフレッド・リードの作品
1.パンチネルロ序曲 約8分
2.魔法の島 (シェイクスピア「テムペスト」より) 約9分半
3.ハムレットへの音楽 (4楽章から成る組曲) 約18分
B:後半の部:ジェイムズ・バーンズの作品
1.アパラチアン序曲 約7分
2.秋のひとりごと (独奏オーボエと吹奏楽のための協奏的な作品) 約7分半
3.交響曲第2番 (3楽章構成、1982年ニール・A・チョス記念賞受賞) 約23分
(アンコール)
4.J.S.バッハ(A.リード編曲)/主よ、人の望みの喜びよ 約4分
〇各CD音源から抽出・CD-Rに編集
編集に使用する音声ファイルの抽出から始めます。
いつも、作業にはPCソフト「B's Recorder」を使っています。
*音声ファイルの抽出
まず、B's Recorderのリッピング機能を使って、各CD音源から目当ての楽曲をWAVファイル(44.1KHz・16bit)として抽出し、PCのストレージやSDカード等に一時ストックします。
*この時点で音量の調整は行わず
聴いた印象では、WAVファイル毎に音量のギャップがやや心配です。
再生出力の低い音声ファイルはノーマライズで持ち上げられないか、と考え、別に波形編集ソフトで各ファイルの波形を覗いてみますと、聴いたイメージと違って、およそどの曲も音量のピーク値は0dB付近にあります。
ノーマライズで出力を持ち上げる余地は乏しいので、調整を加えずにライティングします。
*ライティング:曲間のギャップ設定は重要です
WAVファイルの準備ができたところで、B's Recorderのライティング機能を使って、CD-R媒体に書き込みます。
ここで、曲間のギャップ(無音の部分)を何秒に設定するかが意外と重要です。
ギャップ設定がなければ曲から曲への移り変わりがせわしなく感じたり、逆にギャップが長すぎれば間延びしてしまい、どちらも心地よく音楽を楽しめません。
今回、「前半の部」及び「後半の部」それぞれの中での曲間ギャップは2秒とし、後半のメイン・交響曲の各楽章の終わりには既に余白が収録されているので間延びしないようギャップ0秒としました。
また、「前半の部」と「後半の部」の間は気持ちの切り替えのためにやや長めにギャップ5秒。また、交響曲の後も、余韻を味わえるようアンコールの前に4秒のギャップを設定しました。
ライティングソフトによっては曲間ギャップの調整機能がないものもありますが、そのようなソフトは上記の操作ができないので使えません。B's Recorderであれば曲間ギャップも微調整可能で大変便利です。
*出来上がったCD-Rを試聴:OK
ここで出来上がったCD-R音源を聴いてみます。
予想通りの内容でした。CD-R音源は完成です。
〇CD-R音源をC80カセットにも録音
出来上がったCD-R音源を利用して、C80カセットテープにも録音してみました。
クラシック系音楽であれば、ハイポジションやメタルポジションを使うところですが、現行ラジカセなどでも聴けるよう、ノーマルポジションテープを選択。
ここからはカセットデッキ等を使ったカセットテープへの録音の作業です。
*準備:カセットテープの慣らし走行
・CD-Rの演奏時間から使用カセットにはSV-C80を選びました。
・当店の第二世代黒カセット製品の一つです。デジタル対応の抜けの良い音質が特徴です。

未使用カセットなので、念のため、カセットプレーヤーを使って1往復、慣らし走行を行っておきました。
慣らし走行を行うと、テープからの粉落ちが減る、テープ走行が安定し、録音時のドロップアウト等の不具合が減少する、といったメリットがあります。

(上記画像:録音に先立ってSV-C80を小型カセットプレーヤーで1往復慣らし走行。)
実際にこのカセットへの録音でも、A・B面を通じてドロップアウトは感じません。一手間かけた甲斐がありました。
*録音:ティアック・V-6030Sにて
カセットテープにはハードル高めのクラシック系音源なので、録音には手持ちでは上位機種のティアック・V-6030Sを使います。
出来たカセットは、このデッキ以外にラジカセでも聴きたいので、ノイズリダクションはオフです。
その分ヒスノイズが目立ちやすくなりますので、録音レベル設定には注意を払います。(後述)

(TEAC V-6030S(製品イメージ))
録音前にヘッドとキャプスタン回りを洗浄液でクリーニング。乾いたところでテープのキャリブレーションを行い、バイアスと入力感度を補正し、ベストな状態で録音できるようにします。
(L) (R)
・bias: 11時(-4) 11時(-4)
・level: 2時 2時
バイアスは1目盛り浅め補正。入力感度は2目盛りプラス補正でした。
*録音時のレベル設定
録音を開始します。
上述の通り、CD-Rに収容した音源は曲によって聴感上、結構音量差を感じます。
大音量の場面でも歪まず、弱音の場面でも極力ヒスノイズに埋もれないよう、ヘッドフォンでモニターしながらざっと通しで試し録音を行い、録音レベルを決めます。
試し録音の結果から録音レベルを以下のように設定しました。
・A-1曲目(パンチネルロ)は特に再生出力が高めなのでこの曲は低め:目盛り-11dBで録音開始。
・A-2曲目からは目盛りを1.5dB上げて-9.5dBにて録音。(録音中、曲間にデッキの録音レベルのつまみを操作し、録音レベルを微調整します。)
録音後、聴き直すとB面は良い感じですが、A-3曲目(ハムレット)の再生レベルが曲を通してやや低めでした。そこでもう1dB上げて目盛り-8.5dBにて録音し直しました。
結果、大音量の場面はMOLぎりぎりの領域(デッキのピークレベル表示で+6~+7dB)に留まり、弱音の場面はヒスノイズが聴こえるにしてもストレスにはならない程度に、再生出力レベルを設定できたと思います。
*B面最後にアンコールが入りきらない→やむなくA面の最後に
一つ見込み違いだったのは、B-4曲目のアンコール・バッハのコラールが、30秒ほど時間が足りず最後まで録音できないことでした。
アンコール=おまけ的な選曲ですので、省略しようかとも思いましたが、よく見るとA面の最後には録音できる余裕があるので、CD-Rとは順番を変えて、A面最後に録音しました。
A面で特集したA.リードの編曲した作品でもありますし、A面からB面へ移る際のテープ送りが減るメリットもある、と考えることにしました。
〇まとめ
*カセットテープ録音はレベルに配慮を。鑑賞はスピーカーがお勧め
ダイナミックレンジの広いクラシック系音楽をカセットテープ、特にノーマルポジションテープに録音する際、
大音量の場面を歪ませず、弱音の場面もヒスノイズに埋もれないよう、録音レベルを設定するのが課題ですが、
曲別などでレベルをきめ細かく調整することで、ノイズリダクションを入れなくとも聴きやすい録音を作れる可能性は高いと思います。
それでも、ノイズリダクションを使わずノーマルテープに録音したクラシック系音楽では、弱奏の箇所でヒスノイズが意識される場面があると思います。
特にヘッドフォンではヒスノイズが意識されやすいと思いますが、うまくできたカセットテープ録音をスピーカーで聴けば、ヒスノイズはスピーカー周辺に留まりつつ、演奏は部屋中に広がる印象になると思います。
そのため、カセットテープに録音した演奏の鑑賞はヘッドフォンよりもスピーカーの方が、ヒスノイズが意識されにくく、演奏がよりよく楽しめるのでは、と思います。
*久しぶりに聴いた演奏は改めて新鮮でした
本ブログに用いた音源は、古いものは1981年の録音、新しいものでも2004年録音と、20年から30年以上も私の手元にあるCDです。以前は熱心に聴いていましたが、上述の通りここ十年程はご無沙汰でした。
時間が経過して私の感覚も変化しており、以前は聴き逃していたことが、今ではよくわかるようになったりと、改めて新鮮でした。
以上、何かのご参考になれば幸いです。

(出来上がったカセットテープは、デッキ以外にこのソニーのラジカセなどでも聴いています。)
(ネットショップ向実庵・店主)


