2024/10/11 12:26
2024年10月に入ってFIIO CP13を購入し試聴していますが、もう1台、東芝エルイートレーディングよりリリースされているAUREX AX-W10Cも購入して試聴しています。
今回はそのレポートをお届けします。
〇AUREX AX-W10C(Walky)について
AUREX AX-W10C(Walky)は、2023年7月に東芝エルイートレーディングよりAUREXブランド製品の一つとしてリリースされたカセットプレーヤーです。
以下、メーカーサイトに掲載されている製品の特長を引用してご紹介しますと、
・Bluetooth(R)搭載でワイヤレスイヤホンでもカセットテープを楽しめる
・バーチャルサラウンド機能搭載で臨場感のある音が聴ける
・コンパクトな手のひらサイズで、カバンに入れて持ち歩ける

(画像:AUREX AX-W10C(Walky))
質量230g、外寸は94(幅)×121.5(高さ)×33(奥行)mm(突起含む)のコンパクトな形態。
往年の東芝のポータブルカセットプレーヤー「Walky」(ウォーキー)の系譜に続く、現代の製品と言えると思います。
さいたま市内の量販店で購入した価格は税込み6900円程。
先にご紹介しているFIIO CP13の価格・税込み2.1万円超に較べると1/3以下で、近年数多くリリースされてきたポータブルカセットプレーヤーの価格帯に属する製品といえます。

(画像:FIIO CP13)
テープポジションはノーマルのみ、ノイズリダクションなしはCP13と同様、近年のポータブルカセットプレーヤーの仕様ですが、
Bluetoothに対応するヘッドフォンや周辺機器に音を飛ばすことが可能、バーチャルサラウンド機能や、外部入力した音声を録音できる機能も備え、CP13よりも多機能といえます。
〇試聴の環境等
バーチャルサラウンド機能は使用せず、ノーマルな状態で試聴しました。
ヘッドフォンはいつも製品テストに使用するハイレゾ対応の密閉型・ATH-A2000X(オーディオテクニカ)を有線で接続します。
音源は、製品の得意分野であろうポピュラー音楽(山下達郎/Ride On Time)と、再生のハードルが一段高い大編成の器楽曲(全日本吹奏楽コンクール課題曲の参考演奏を中心とした私的なセレクション)を使用しました。
・山下達郎・アルバム「Ride On Time」:
CDよりTEAC V-6030Sにて当店で販売もしていますSV-C60(スカーレット)に録音したもの。バイアス等のキャリブレーション実施。NRはオフです。
・往年のコンクール課題曲集(1981年~2004年の中から13曲):
参考演奏CD等よりV-6030Sにて、現行版マクセルUR-60に録音したもの。こちらもキャリブレーション実施・NRオフです。
〇試聴した印象
これまで数千円台のポータブルカセットプレーヤーでは付き物だった、モーターに由来するであろう「ブーン」というハムノイズが皆無。その分、静粛性が一段向上していて音楽に集中できます。
これは別メーカーですがCP13とも共通の良い点です。
(再生音)
音質は、高音域は程よく伸び、低音域は中・高音域を支えられる必要十分なボリュームが感じられます。「Ride On Time」では、ベースラインの動きが楽しく聴けました。
音の全体的なイメージは、「高音域も低音域も程よく主張のある、ひずみ感や刺激の少ない、ソフトでスムーズな音質。耳に優しいアナログサウンド」といった印象です。
(走行系の安定性)
順番が前後しますが、この試聴の前には8~10時間ほどエイジング(慣らしのための再生)を行いました。これを行うことで、購入直後のコンディションから安定感が増した感じになりました。
「エイジングしても高級機でないと違いは判らないのでは?」と思われるかもしれませんが、意外と普及価格帯の製品でもエイジングは大切で、これを行わずテストすると製品の本調子が出ておらず、判断を誤ります。
そのうえで走行系の様子を、回転ムラにシビアな吹奏楽曲も再生して確認しています。
吹奏楽曲を再生してもフラッター(周期の細かい音の揺れ)は少なく音色が濁りにくい点は好ましいです。
ワウ(比較的周期の長い音の揺れ)は注意して聴いているとわかりますが、従来の数千円台のポータブルカセットプレーヤーに較べて一段安定度は高いと感じます。
回転ムラに強いヴォーカル中心のポピュラー音楽、リズムやパルスなど短い音で構成されるダンスミュージックなどなら気になりにくいと思います。
モーターのトルクは細めな印象です。従来の数千円台のポータブルカセットプレーヤーではちょっと傾けてもスピードが変化するような不安定な製品も多々あり、それらに較べれば安定していますが、それでも「重め」のテープなどでは、走行が遅くなる、音楽のテンポやピッチが不安定になる場面がありました。
使用テープは60分以内と取説にありますが、できれば46分程度の軽めのものがよい様子です。
個人的には価格が現在の2倍でもいい(それでもCP13よりは安価・1.4万円程です)ので、現行版よりトルクの大きなモーターなど、安定感のより高い走行系を採用してほしいところです。
(東芝エルイートレーディング様、改良版が出る時はぜひご検討をお願いいたします。)

(画像:試聴時の機材など)
〇まとめ
欲を言えば走行系にもう一段の安定性が欲しいですが、従来の数千円台のポータブルカセットプレーヤーよりも安心して聴けます。「ブーン」という感じのハムノイズも皆無で静粛性も向上し、個人的には大歓迎です。
耳に優しいアナログらしい音作り。程よい高音域と柔らかくボリューム感のある低音域を土台に据えた音質は、相応にメリハリがあって心地よく、好感が持てます。
ヴォーカル中心のポピュラー音楽はこの製品の得意ジャンルと思われます。
試聴した山下達郎のアルバムを楽しく聴けました。
実売価格7千円程の現行カセットプレーヤーの中ではかなり良いモノではないか、と思います。
CP13のような「ポータブルプレーヤーにいきなり2万円超をかけるのはちょっと」だけれど「7千円位ならお試しに買ってもいいかな」という方にはお手頃な製品になりうると思います。
気になる方は、録音済みのテープとヘッドフォンを持参して販売店で試聴されるとよいと思います。
ご購入は、イメージに合う製品であることを確認してから、をお勧めします。

(画像:AUREX AX-W10C(Walky))
(投稿:舩生好幸・向実庵店主)