2021/07/13 16:36
昨年5月、「十数年前のカセットテープを聴いて」というタイトルでブログを投稿しました。
今回は、上記ブログの続編にあたる投稿をお出ししようと考え、保管中のカセットテープの中からこれはと思われる製品を探してみました。
その結果、画像の3巻のカセットをリストアップしました。
これらの製品の概要や録音内容、録音した当時の状況などに基づき、綴ってゆきたいと思います。

〇TDK AD-C90
1巻目はTDKのADです。
ADは1977年、高音域特性の良さをセールスポイントに登場した音楽用カセットです。コストパフォーマンスの高さからベストセラーに。キャッチコピー「突き抜ける高音の冴え」が懐かしいです。
1979年頃に購入したこの製品は、ロングセラーカセット・TDK ADの第2世代です。

このカセットにはA/B両面にFM放送からの録音が入っていました。
A面は当時の人気ロックバンド、ジャーニーのライヴの様子。B面は当時リリースされたばかりのJ.レノン&ヨーコ・オノ「ダブル・ファンタジー」より。
録ってはみましたが正直なところ、両面ともあまり興味が湧かず、録音後に1回聴いたかどうか。
それが幸いしたか、40年以上前のカセットですがコンディションは結構よいです。再生してみると、ドルビーB入りの録音を当時と異なるデッキで再生するせいで高音域が若干甘いですが、十分鑑賞に堪える音質でした。
当時、ADの90分は定価850円。46分でも定価450円と相応に高級品でした。その分、レーベルやインデックスカードなども青+シルバーのストライプが入るなど高級感があり、充実した造りとなっています。
〇TDK SR-74
2巻目は、TDKの普及タイプハイポジションカセット・SRです。
マクセルが1983年にUDⅡで開拓した低価格ハイポジションカセット市場に、TDKが1986年に投入した「SF」後継として1988年に登場しました。
TDKの定番ハイポジションカセット・SAの下位グレード製品ですが、個人的にSAとの音質の差は判然とせず、高性能で価格お手頃の優れた製品と認識しています。

1992年ごろに購入しました。インデックスに何のメモも書かなかったので録音内容不明でした。
聴いてみると、当時参加していた市民オーケストラの木管分奏(フルート、オーボエ等、木管楽器のメンバーだけ集まって行う練習)の録音でした。
当時、練習会場等で時々使っていたソニーのカセットデンスケ・TC-D5Mにワンポイントステレオマイク(ソニーのECM-959だったと)の組み合わせで録音したと思います。
聴き直すと、マイクは中級クラスのせいもあって、再生音の周波数特性はやや中音域寄りですが、各楽器の音のニュアンスや一緒に録音されているメンバーの会話の様子なども非常にリアルに記録されていました。
マイク録音でノイズリダクションなしにも関わらず、ヒスノイズが目立たないのが印象的です。ハイポジションといえどもヒスノイズの目立つ製品もあるので、当時のTDK製品の秀逸さの表れだと思います。
この頃のSR-74は定価650円位。うろ覚えですが、家電量販店なら3-4割引位、400円前後で販売していた気がします。当時はハイポジションカセットが安かったのでノーマルは使わず、各メーカーのこのクラスの製品を常用していました。
今となってみると、ハイポジションカセットが潤沢に使えた良い時代でした。
〇ダイソーカセット・80分タイプ
3巻目は比較的新しい、ダイソーで販売していた80分カセットです。
音質や使用パーツの形状、そしてインドネシア製造という点から、実質的に、マクセルURのOEM版と想像できます。
周波数特性は低音域から高音域まで伸びやかでデジタル音源も忠実に録音できます。大入力にも強く、レベルを上げて録音しても安心感の高い製品。コストパフォーマンスが高いです。

この製品は2015年頃購入しました。すでに珍しくなっていた80分テープです。
録音内容は、クラシック系の小品(吹奏楽の課題曲)を、好みでオムニバスに録音したMDから、ラジカセやカーステレオで聴くことを目的にカセットに録音しました。80分は、吹奏楽の小品やコンクールの実況の収録等には重宝な長さで使いやすく、まとめ買いしておいたうちの1巻です。
ノーマルテープなので、SRの後で聴くとヒスノイズがやや目立ちますが、周波数特性的には高音域まで伸びやかで不足はありません。
マクセルUR相当で事実上の音楽用カセット・80分が108円(当時)。十分にハイコストパフォーマンスと言えます。
〇まとめ
70年代末、90年代初め、2015年頃、の3巻のカセットテープを続けて見て、聴いてみました。
1970年代終わり頃は高級品だった音楽用カセットテープが、全盛期を迎える1990年代ころには性能アップしつつもコストダウンが進み、そして現在は100円、200円台という低価格(でも性能は侮れない)製品に収斂している、と言えましょうか。
現在はメタルポジションもハイポジションも製造されず、カセットテープの新製品はノーマルポジションのみの状況ですが、使えるコストも限られる中、生き残っている製品は音楽録音に耐えられるパフォーマンスを、非常に頑張って維持していると思います。
あとは、カセットテープの能力を活かしきれるレコーダー=カセットデッキが、いつまでも入手できることが大切だと思います。
遠くない将来、必要なスペックを満たしたカセットデッキの新製品が、どこかのメーカーから改めてリリースされる、その点を切に望む次第です。