2024/10/29 16:01

2024年10月13日、新宿で開催された「カセットウィーク・マーケット」。
その会場で販売されていた限定品ブランクカセットテープ(ハイポジション、ノーマルポジション)を購入して、テスト録音してみました。
(上記画像:C46・ハイポジションテープ(左下)とC46・ノーマルポジションテープ)

その試聴レポートの1回目はC46・ハイポジションテープです。
向実庵のこれまでのテスト方法を踏まえて、確認した結果をご報告します。
(上記画像:C46・ハイポジションテープ。タブアウト(ツメなし)型ハーフなので録音前にテープを貼って使います。)

◇0.録音前の準備
・この製品に採用されているのはミュージックテープ向け・タブアウト型のハーフのため、録音に先立ち、セロテープでふさぎます。
(この際、ハイポジションの検出孔をふさがないように注意しました。)
(上記画像:録音に備え、タブをテープでふさぎます。)

◇1.管弦楽曲の録音と試聴
・まずはカセットテープにはハードルの高い大編成の器楽作品を、手持ちでは上位機種であるカセットデッキで録音します。

・デッキ:TEAC V-6030S
・モニターヘッドフォン:オーディオテクニカ ATH-A2000X
・製品の性能を十分引き出すため、録音前にキャリブレーションを行います。
(キャリブレーション結果)
・バイアス:L:8時(-16)位・R:9時(-11)位
・レベル=入力感度:L:2時40分位・R:3時20分位

※「何時何分」とは、バイアスと入力感度の補正ダイヤル位置を時計の文字盤に見立てた表現です。(筆者の目測。)
・デッキのプリセット値=±0の位置で補正なしは「0時」。
・マイナス側に補正した場合の最大値は「7時」。
・プラス側に補正した場合の最大値は「5時」です。

・バイアスの補正量はマイナス方向にやや多めでした。
・入力感度は低い様子で、かなり大きくプラス方向に補正を加えました。

*テスト録音
・音源:管弦楽曲:ホルスト/組曲「惑星」より、天王星、木星、(小澤征爾指揮ボストン交響楽団、CD音源)
・ノイズリダクション:オフ
・録音レベル:-10dB(=デッキの録音レベルダイヤルの目盛り・目測)
・再生時ピークレベル:+2dB
(上記画像:テストに使用した音源:ホルスト/組曲「惑星」:初出時のアナログLPとともに。)

*再生音の印象など
・最初、録音レベルをより高い-9dBで録ったところ、歪んだ感じだったため下げて再度録音しました。
・MOLは広い方ではなく、大入力には弱いです。録音レベル設定には注意を払う必要があります。
・上述の通り、ピークレベルが+2dBを超えないように収める必要がありました。

・1970年代初め頃、出始めのハイポジションテープは大入力に弱かったようですが、その頃を彷彿とさせる録音レベルの状況でした。

・音質は、キャリブレーションをきちんと行えるデッキのせいもあって、およそ音源に忠実な印象です。
・ですがよく聴くと、ノーマルテープよりも高音域には余裕がある様子です。グロッケンシュピールなど高音域の打楽器やヴァイオリンの高音弦などが余裕をもって再現される印象です。
・また、コントラバスやコントラファゴットなど、重低音楽器の存在感もくっきり描写される印象を受けます。

・無音部分で確認したところ、ヒスノイズはさすがに低く、-40dBインジケーターはまず点灯しません。さすがはハイポジション、というところ。静かな場面のある器楽曲の再生には好適な印象を受けます。

◇2.ポピュラー音楽の録音と試聴
・続いては相対的にベーシックなグレードのデッキで、ヴォーカルを中心とするポピュラー音楽を録音しました。

・デッキ:TEAC V-1050
・モニターヘッドフォン:オーディオテクニカ ATH-A2000X

*簡易キャリブレーション結果:
・バイアス:1時半(+6)位

・V-1050は機能の都合から、録音中に再生音をモニターしながらバイアスの補正値を探りました。
・最初バイアス補正なしで録音したところ、やや高音ががさつく印象だったため、バイアスを深めに補正してみました。
・この製品に関してバイアスの補正値と録音レベルの兼ね合いはまだ手探りと言えますが、今回は上記の値でテストを進めました。

*テスト録音
・音源:ヴォーカル中心のポピュラー音楽:ボビー・コールドウェル「HEART OF MINE」より(CD音源)
・ノイズリダクション:オフ
・録音レベル:4+5/6位(=デッキの録音レベルダイヤルの目盛り)
・再生時ピークレベル:±0dB位
(上記画像:テストに使用した音源:ボビー・コールドウェル「HEART OF MINE」)

*再生音の印象など
・ヒスノイズを冒頭の無録音部分で確認しますと、V-1050でも-40dBインジケーターはまず点灯しません。やはり低ノイズです。

・ポピュラー音楽の場合も録音レベル上げすぎは許容されない製品です。しかし、録音レベルを上げすぎなくともSN比は稼げる製品ですので、ひずまない程度=0dB以内に収めるべきと感じました。

・音質は高音域がクリアで、また、ベースラインなど低音のメリハリもよい印象です。
・ですが、一般的なポピュラー音楽の録再では、例えばマクセルURとの違いは少ないともいえ、やはりこの製品の良さを活かすなら、静かな場面の多い音楽や、管弦楽など大編成で情報量の多い音楽に使用すべき、という印象です。

◇3.まとめ
・現在、現役のハイポジションテープは希少ですので、このような製品が存在することは大変興味深く、魅力的な製品であると言えます。
・ただし、1980年代後半から2000年代初頭にかけて国内メーカーから多数発売されたハイポジションテープとは異なり、録音レベル設定には注意が必要です。
・また、現行のラジカセやカセットプレーヤーの多くはノーマルポジション専用機ですので、その能力をフルに発揮させる場面は、往年に較べて制約があることを予め認識しておくのがよいと思います。
(向実庵店主・舩生好幸)

※ご紹介したC46・ハイポジションテープをごく少量ですが販売用に確保しております。
詳細は下記の画像より商品ページへどうぞ。