2023/08/22 10:52
2023年8月22日 (一部補筆:2023.8.27)
向実庵 舩生好幸
ブログに掲載するにあたり、一部記述を整理し補筆しましたが、主旨はそのまま、このブログで再現しています。
今や数少ないオーディオカセットメーカーのマクセル株式会社様(改編でいつの間にか「ホールディングス」がとれていたのですね。)に宛ててお送りした投書です。
事前に、同社HP上に公開されている経営方針等の資料に目を通しましたが、近年、カセットテープはもとより音楽メディアについて注力する様子はうかがわれません。これは現在のマクセル株式会社様の事業の構成、及び社会・経済の情勢からして当然ともいえますが、
一方で、今も世界中に多くの愛好家を持つマクセルブランドのカセットテープ事業について、わずかなりとも再認識していただきたい、新しい展開を考えていただきたい、その気持ちで書きました。

(マクセル株式会社様と他社との提携が主要テーマです。:画像:RTM-C60)
やや長めの投書ですが、よろしければお読みください。
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マクセル株式会社
経営者様
「カセットテープ事業における他社との提携のご提案」
2023年8月19日
Primary-f 舩生 好幸
御多忙中失礼いたします。
私共は運営するネットショップ「向実庵」にて、オリジナルデザインのカセットテープとともに、貴社をはじめとするメーカー製カセットテープを販売しております、さいたま市内の一事業者です。

(ネットショップ向実庵:URL:https://hrmkjts.base.ec/ )
貴社のカセットテープ事業の堅実な進展とともに、新製品投入による新しい展開も期待して、はなはだ勝手ながら、以下に貴社と海外のオーディオメーカー様との提携を、ご提案させていただく次第です。
〇米国:National Audio Company,Inc.(以下、NAC社)
https://www.nationalaudiocompany.com/
米国ミズーリ州スプリングフィールドに拠点を構えるNAC社は1969年の設立。
現在は、米国最大のミュージックテープ及びオーディオカセットテープメーカーとなっています。
米国内はもとより、日本を含む世界中のアーティスト等のミュージックテープの製造を受託・提供している企業です。
音質へのこだわりから、現在、NAC社はカセットテープに使用する音楽用磁気テープを自社内で生産しています。
自社生産した磁気テープはミュージックテープ等業務用カセットテープに供給すると同時に、一般向けブランクカセットテープとしても販売しています。
以下、NAC社において特に着目する製品をご紹介します。
*C60・STUDIO MASTER 799 (ハイポジションテープ)
NAC社が製造・販売するタイプⅡカセットテープ。
貴社製品でもおなじみだった「酸化鉄+コバルト」磁性体によるハイポジションテープです。

(画像:C60・STUDIO MASTER 799)
2022年の秋、私共でもこの製品を取り寄せてテストしたところ、貴社の往年のヒット商品・XLⅡシリーズやUDⅡのようなレコーダーを選ばない製品とは異なる、録音に際して周到な調整が必要なカセットテープ、という印象でした。
しかし、もしも貴社がNAC社と提携・協力して、製品の一層のレベルアップがなされるなら、今では希少なハイポジションカセットテープのOEM先になりうる可能性があると思われます。
NAC社側から見ても、歴史と実績ある貴社のサポートが得られるとしたら、多分において歓迎すべきことではないかと感じますがいかがでしょうか。
〇フランス:Recording The Masters (以下、RTM社)
https://www.recordingthemasters.com/
業務用高品質オープンリールテープ及び高品質カセットテープを展開するRTM社。
先に発表された高品質カセットテープ・fox-C60&C90に続いて以下の製品が供給されています。
*RTM C60&C90 Type One (ノーマルポジションテープ)
スタジオ録音の定番オープンリールテープ「SM900」と同様の方式で製造されるこのカセットテープは、現在生産されている製品中で世界最高水準の品質、と紹介されています。

(画像:RTM C60&C90 Type One)
・磁気テープには伝統的な磁性材である酸化鉄(Fe2O3)を採用。
・残留磁束密度1480ガウス、保磁力370エルステッド。
これは貴社の往年のヒット商品・UDⅠないしはXLⅠに相当する製品であろうと思います。
また、RTM C60&C90 Type Oneはテープガイド部分に「ブリッジ」と呼ばれる専用パーツを組み込んで構成。外観上のインパクトも大きく、また、走行安定性や、振動低減による一層の高品質録音・再生が期待できます。

(画像:RTM-C60:下部に黒い専用パーツ「ブリッジ」が見えます。)
RTM社のカセットテープは私共のネットショップでは定番商品となっています。
先代の製品・fox-C60は1巻当たり700円台後半~1000円強、RTM-C60は1400円弱、RTM-C90は1800円超(いずれも消費税込み)と高めの価格ですが、高品質で安定感の高い商品のため、堅実な売れ行きを見せております。
*今後のハイポジションやメタルポジションの展開も見据えた製品?
RTM C60&C90 Type Oneは名前のとおりノーマルポジションの製品ですが、採用する透明カセットハーフには、TypeⅡ及びTypeⅣの製品に速やかに転用可能なよう、双方の「検出孔」が準備されていることが分かります。(下記の画像ご参照。)

(画像:RTM-C60:タブでふさがれてはいますが、TypeⅡ及びTypeⅣの検出孔がすぐに設定できる状態です。)
現在、RTM社のサイトを見ても、ハイポジションやメタルポジションの製品は発表されておりませんが、
もしも貴社がRTM社と提携・協力できたらいかがでしょう。
ハイポジションテープやメタルポジションテープの供給が実現する、もしくは早まる可能性があるのではないでしょうか。
もしくは現行のノーマルポジション製品であっても、OEM供給を受け、URの上位製品として市場に投入すれば、カセットテープ事業の活性化につながると思われます。
〇カセットテープを販売して感じること
私は2020年にネットショップを開業いたしました。
ごく零細な事業ですが、カセットテープを販売し、またHPやSNS上でカセットテープ製品の情報を発信して感じることは、
今も、カセットテープという音楽メディアを愛好し、必要としているユーザーは国内にも、海外にも、かなりのボリュームで存在する、ということです。
性能の良いカセットテープや、新しいカセットテープ製品に敏感に反応するお客様の存在を感じます。
それだけに、コストパフォーマンスの高いオーディオカセットテープ・URシリーズを供給し続けておられる貴社の存在は貴重です。
しかし貴社内では、カセットテープ事業に対して「いまさら、大きな発展など期待できない。」 憚りながら、このようなお考えが主流ではないかと想像いたします。
一方、視点を改めることから、新しいビジネスの可能性も生まれるように思われます。
そのためにも、系列外の他社との提携や協業も考慮の上、新しいカセットテープオーディオの未来を、描いていただきたいと存じます。
〇カセットテープは息の長い「文化」
欧米では、アナログレコードに続いてミュージックテープのリリース数や売上高の増加も記録されている旨、報道もあるようです。
新型コロナウイルス禍で規模縮小や中止となっていたカセットテープの世界的イベント「カセットストアデイ」も2022年に再開し、日本では今年も10月に、米国発の「カセットウィーク」とのコラボイベントとして計画されています。

(ご参考URL)
http://cassettestoreday.jp/
https://www.cassetteweek.com/
カセットテープというメディアで音楽を楽しむという行いは、世界中に根付いている「文化」であると思います。
たとえ一時、廃れたように思われても、
・何年か経過するとその魅力が再認識され、また人気を取り戻す。
・簡単に消滅したりはしない。
そういうものであると思います。
貴社の中期計画(MEX23)基本方針に掲げる、「独自のアナログコア技術で新たな価値を創出」。
その往年の”精華”であるカセットテープ事業の実績とその蓄積されたノウハウを、現在は貴社ビジネスの傍流となっているかもしれませんが、
・将来に向けて確実に維持していただきたい。
・その時々で、可能な範囲で、再発展も狙っていただきたい。 そして、
・いつかまた、魅力的なカセットテープ製品を充実したラインナップで世に送り出していただきたい。
その思いでこの投書をお送りいたしました。
お読みいただきありがとうございます。
長々と失礼いたしました。
Primary-f(プライマリ・エフ)
舩生 好幸(フニュウ ヨシユキ)
ネットショップ向実庵 店主
IPA登録 セキュリティプレゼンター
ビジネスライター
さいたま商工会議所 会員