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2022/11/19 15:15

(最終更新:2022.11.21)

(2022.11.21:2製品とも完売いたしました。ありがとうございます。)

「カセットウィーク2022×カセットストアデイ10周年」特集の準備の際に、ちょっと覗いたNational Audio Company,Inc.(NAC)のHP。
そこで見つけた音楽用ノーマルポジションと、今や貴重な現役のハイポジションテープを、電子メールによるやり取りを経て、試みに少量ずつ仕入れました。



(上記画像:(左)C60・NAC・Ferro Master C256、(右)C60・NAC・STUDIO MASTER 799)

〇National Audio Company,Inc.(NAC)について
NACは1969 年に設立されました。米国ミズーリ州スプリングフィールドに拠点を構えるこの企業は、現在では米国最大のオーディオ カセットテープメーカーとなっています。

2000年代初頭、デジタルオーディオが世の趨勢となる中でも、NACはオーディオ カセットに対する継続的な需要を認識し、業界のニーズを満たすためにミュージックテープ等の複製サービスを拡大してきました。

2010年代中ごろ、NACは米国内のミュージックテープの復活を牽引する企業として、日本でも報道されましたので、ご存じの方も多いかもしれません。

音質へのこだわりから、現在、NACはカセットテープに使用する音楽用磁気テープを自社内で生産しています。
通常、ミュージックテープの製造元は外部のメーカーから磁気テープを購入するもの、という認識でしたので、NACが磁気テープの自社生産にまで取り組むという報道には、個人的にはちょっと驚きました。

NACでは自社生産された磁気テープを業務用カセットテープに供給すると同時に、一般向けブランクカセットテープとしても販売しています。

〇NAC2製品ご紹介
仕入れましたのは、以下の2製品です。

〇 C60・NAC・Ferro Master C256 (ノーマルポジションテープ)
・Ferro Master C256は、一般向け音楽用カセットテープです。
・深みのあるまろやかな低音、暖かみのある中音域、透き通った高音域が特徴と紹介されています。

試しに録音してみたところでは、現行の市販品ではマクセルURや、あるいは当店で販売する白ハーフ及び黒ハーフなどに使われている業務用カセットテープとおよそ同じグレード=スタンダードなLHカセットテープという印象です。

TEAC V-6030Sでのキャリブレーション結果は、バイアス補正値は8時半位と相応に浅め、入力感度補正値は1時位にやや持ち上げる状況となりました。
一方、NACの説明によれば、この製品は多くのカセットデッキ等のプリセットノーマルバイアス及びEQ値と互換性があるとのことです。

TEAC V-6030Sで基準通りキャリブレーションを行うと、ハイ上がり傾向のトーンカーブになりやすいです。上記の結果もその傾向があるかもしれない、と思い、TEAC V-1050ではバイアス補正なしで録音・再生したところ、それでも高音のトーンカーブが相応に伸びている印象でした。

そのようなところから、Ferro Master C256はバイアス値の微調整なしでもバランスが良い録音ができる場合も多いと思われます。

おなじみの製品との比較で申しますと、マクセルUR(特に2020年3月以前の旧版)ほどには高音域のカーブが持ち上がっておらず、かといって高音が物足らなくならず、程よくバランスした音質かと思います。

〇C60・NAC・STUDIO MASTER 799 (ハイポジションテープ)
・現在は貴重な「現役」のハイポジション・カセットテープ
・性能を引き出すには対応する機材と技が必要なプロ仕様カセットです

といった紹介を商品ページには載せました。かつて国内でもおなじみだった酸化鉄+コバルトの磁性体を持つハイポジションテープです。

試聴前は、1990年代以降のハイポジションテープのように、ノイズ少なめ、かつ華やかな音質も期待できる、万能の音楽用カセットテープをイメージしていましたが、実際は予想とかなり違う製品でした。

V-6030Sでキャリブレーションしてみると、バイアス補正値は7時半位、とかなり思い切って浅くする必要があり、入力感度の補正値は2時位と、結構持ち上げる必要がありました。

その上で録音してみますと、周波数的には高音域まで出ているけれど、余計な色付けはせず、過剰に高音域を強調しない、なるほど「マスター」らしい、またアナログらしいトーンカーブであり音質である、といった印象を受けました。
再生出力も低めで、MOLも広くはなく、録音時のピークレベルは+3dB以内に抑える方が無難な様子です。

高音域まで伸びやかな音質を期待するならむしろノーマルポジションのFerro Master C256 の方なのかしらと、当初の予想とかなり異なる特性や音質であることが分かりました。

一方、ヒスノイズレベルはさすがにハイポジションで、無音部分でノイズの出方を見ると、-40dBのインジケーターが全く点灯しません。ノーマルテープとはレベルの違う静粛性と言ってよいのではと感じました。

このSTUDIO MASTER 799 は、現代の電子的な音を多用するロックやポップスなど、ダイナミックできらびやかな音楽よりも、アコースティックなジャズコンボ、クラシックの室内楽、ピアノやギターによる弾き語りなどの演奏を、アナログらしいしっとりした音質で、なるべく静粛な中で録音・再生したい要望に向いていると感じました。

また、録音時にはバイアスや入力感度の微調整も必要ですし、製品の良さを活かすためには注意深い録音レベル設定も必要です。使いこなしには相応な機材と技が必要な製品と言えると思います。

〇価格とリリース期日
これら2製品の価格をどうするかで迷いました。
国内では珍しい製品と予想され、またこのところドルに対して日本円が安く、商品代金のみならず配送料も高額になりましたので、販売価格は1巻千数百円程度にしたかったのですが、ノーマルポジションC256の位置づけはLHクラスの音楽用カセットですし、ハイポジション799は取り扱いが難しい側面があることから、もう少しお求めやすい価格にいたします。

*価格
・C60・NAC・Ferro Master C256(ノーマルポジション)
・販売価格:638円(定価850円より25%off)

・C60・NAC・STUDIO MASTER 799 (ハイポジション)
・販売価格:713円(定価950円より25%off)

※カセットテープ製品は別途送料=全国300円をお申し受けいたします。なお、お買い上げ金額2300円以上は国内送料無料です。

*リリース期日
・ともに2022年11月21日(月)正午(予定)

※いずれの製品も在庫は少量(8巻ずつ)です。現時点で継続して仕入れる予定はございませんので、ご希望の方はお早めにお買い求めください。

※また、この機会に、foxC60&C90や、当店のオリジナル製品も、合わせてご購入いただければ幸いです。

ご利用お待ちいたしております。