2021/12/13 15:44

(最終更新2021.12.14)準備できましたので、 fox C60を本日11:00リリースいたします。
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この度、メーカー製カセットテープ「RECORDING THE MASTERS fox C60」が入荷しました。

また、販売に先立ちテスト録音も行いました。その内容も踏まえて製品をご紹介いたします。

〇「RECORDING THE MASTERS fox C60」の概要

この製品は「RECORDING THE MASTERS」ブランドでオープンリールテープ及び高品質カセットテープを展開するフランスのMULANN社が開発・製造するノーマルタイプの音楽用カセットテープです。
この製品はスタジオ録音の定番オープンリールテープ「SM900」と同様の磁性体を採用し、現在生産されている製品中では世界最高水準の品質を誇っています。

使用する磁性材はノーマルテープの定番である酸化鉄。
残留磁束密度は約1500ガウス、保磁力370エルステッドとあり、これは往年の製品では、TDKのADやOD、マクセルのUDやXLⅠなど、LHタイプからスーパーLHタイプ製品相当のスペックです。

〇画像でご紹介
・製品は全面クリアのケースに、インデックスカード及び、添付用のステッカーとともに収納されています。

・ケースから出した画像。内部のスリップシートも透明で、テープがよく見えています。
 こちらがA面。クリーニングリーダーは黄色です。(画像ではB面からのスタート用に巻き上げています。)

・こちらがB面。ハーフ右上に印刷されているA/B面の表示が控えめ。慣れるまで少しわかりにくいかもしれません。

・インデックスカードの表面と添付シール

・インデックスカード裏面に曲目とタイトルなどが記入できます。


〇録音時の印象
2台のカセットデッキ、TEAC V-6030S、V-1050で録音してみました。

〇TEAC V-1050:バイアス微調整なしでもバランスの良い音
まずはベーシック機・TEAC V-1050で、バイアス値を微調整せず素の状態(但しドルビーHXPROは自動的に動作します)で録音しました。ノイズリダクションはOffです。

・音源はポピュラー音楽:ボビー・コールドウェルのCD「Heart of Mine」より。

このアルバムはリリースから時間が経ちましたが、今聴いても録音の鮮度が高い作品です。演奏はコールドウェルのヴォーカルや、サックス等のアコースティック楽器のほか電子楽器も多用され色彩的。そのため高音域の情報量が多く、録音するカセットテープの性能がはっきりわかります。

fox C60で録音してみると、バイアス値の微調整なしでも高音域まで抜けの良い、バランスの良い音質でした。
ドルビーHXPROの効果で、高音域のゆとりがある程度増しているはずですが、それでも製品によってはバイアス微調整なしでは高音が落ち込んでしまう場合もあります。
一方、録音の結果からfox C60はバイアス値の許容範囲が広い製品と思われます。これは往年のTDKや現在のURも含むマクセル製品などに通じる特性と言えるでしょうか。

また、少し意地悪で入力レベルを上げ、+5dBまで振れるようにしての録音もしてみましたがその場合も音が歪みにくく、音のバランスを保って録音できる印象です。MOLも相当に広いと思われます。

〇TEAC V-6030S:キャリブレーション実施でさらに忠実度の高い音質
上位機種のV-6030Sではきちんとキャリブレーションを行って録音しました。こちらもノイズリダクションはOffで録音しました。

キャリブレーションの結果、バイアスと入力感度の微調整幅は、想定した値よりもやや多めの印象でした。
・バイアス:L/Rとも9時20分くらい(-10付近):結構しっかりと浅め
・入力感度(レベル):Lが1時10分付近、Rが1時付近:やや高めに


録音する音源は2とおりです。
・ポピュラー音楽:ボビー・コールドウェルのCD「Heart of Mine」より(前出)。
・管弦楽曲:ホルスト/組曲「惑星」から木星、天王星(小沢征爾指揮 ボストン交響楽団)

管弦楽曲は周波数特性の点でもダイナミックレンジの点でも、カセットテープには厳しめの音源です。これまで何度か製品のテストに使用しているCDを選択しました。

録音してみると、こちらも音源に忠実に、余分な色付けなしで録音できる印象ですが、その精度がもう少し高まりました。
B.コールドウェルの色彩的で情報量の多い音源を、前項での録音以上に正確に録音できていす。
ホルストの木星や天王星も、さらに情報量が多く録音が難しいであろう大編成の管弦楽を、誇張もデフォルメもせず忠実に録音するという印象です。

〇ヒスノイズ:標準的、音の安定感:優秀
ヒスノイズのレベルについて、2台のデッキそれぞれで、無音部分で確認しました。
-40dBのセグメントが2,3秒に一回点灯する程度。これは現行のマクセルURと同程度と言えそうで、近年のノーマルテープの普通のレベルと言えるでしょうか。

また、2台のデッキでの録音いずれも、音抜け(ドロップアウト)が少なく、音の安定感が高い点は特筆できると思います。
テープ自体が高品質で、なおかつハーフの作りもよく、テープの走行安定性も高いものと思われます。
また、この製品には省略されがちな防磁板もきちんと装備しています。

製品によっては、デュアルキャプスタン構成のV-6030Sで録音すると良好な結果でも、シングルキャプスタンのV-1050では急にドロップアウトや回転ムラが目立つ場合もあります。

しかしこの製品は「マスター」を名乗るだけに、製品として総合的な品質が高い印象です。
原音に忠実で安定性の高いカセットテープをお探しの方に、お勧めできる製品であると思います。

〇当店では1巻ずつ販売いたします
さて、この製品は通常、10巻入りの箱売りですが、当店では1巻ずつ販売いたします。

「『世界最高水準の品質』というキャッチコピーが気になるけれど、いきなり10巻はちょっと・・。」という方は、当店で数巻をお買い求めいただき、お試しください。
(試した結果、箱買いしたくなった場合は、磁気研究所様のネットショップ等で購入されると合理的かもしれません。)

また、当店でご購入の折には、以下の製品もございますので合わせてご利用ください。
お待ちいたしております。