2020/06/12 17:19
先日5/27のブログでは、現在のラジカセの機能の制限から、カセットテープへの録音はデッキがおすすめと書きましたが、
もう一つ(二つ)、現在のラジカセにない再生に関する機能について書きます。
可変のトーンコントロールと左右のバランス調整についてです。
1980年代前半頃まで、多くのラジカセにはボリューム式やスライドバー式のトーンコントロールがありました。
CD普及以前のカセットテープ、ことにローノイズテープなどベーシックグレードで録音すると、「高音が伸びない」のが普通だったので、再生時はラジカセのトーンコントロール(BASS=低音、TREBLE=高音、が別々ならTREBLEの方)をマックス近くまで上げて、やっと鑑賞に堪えられる状況だったから、と理解しています。
当時ラジカセにトーンコントロールは必須の機能だったと思います。
CDの普及と歩みを一にするように、カセットテープも周波数特性が改善され続け、90年代以降、AEやHF、UR、といったベーシックグレードのカセットテープでも高音域を含めた周波数特性が良好になり、トーンコントロールによる補正の必要性が薄れたと思われます。
またそのころからラジカセ製品の価格低下への圧力も高くなった様子で、国内メーカー製品であってもラジカセは海外で生産されるようになりました。コスト削減のため機能を絞る必要も高まったのでしょう。トーンコントロール機能はなくなるか、もしくは高音や低音のブーストをオン/オフする簡易型に変わっていったものと思われます。
また、ステレオラジカセから左右のバランス機能がなくなったのも、ほぼ同時期だったと思います。
デジタル音源なら通常気にならないですが、カセットテープは録音の結果、左右のバランスが微妙に変わってしまうことがあります。
別のデッキやレコーダーで録音したカセットをラジカセで再生する場合も、右か左いずれかにバランスが寄ってしまうことがよくあるので、「バランス調整が欲しいな」といつも思っています。
現在のCDラジカセは、カセットテープの録音機能はあれどもレベルは任意で変えられない、つまりレコーダー機能を簡略化し、使えるコストをプレーヤー機能に絞って投下しているのだと思います。

しかしそれは、別途カセットデッキなどで録音したテープを再生することを(半ば)前提にすることであり、結果、トーンコントロールや左右のバランスなど再生時の微調整機能の必要性を改めて高める、そう感じています。
先日(6/10)のポータブルカセットプレーヤーのブログと同様なのですが、近年のCDラジカセも、もう少しコストをかけた製品づくりをして欲しいなと思うことが多いです。
安く購入できることはありがたいですが、必要な機能や品質まで削り落とす程のコストカットは商品の魅力を損ねます。
現在は、言ってしまえば「CDラジカセが欲しいけど買いたい商品が売られていない」状態に近いのです。
ですが捉え方次第、工夫次第で、CDラジカセはもっと魅力的な製品であり続けられると思います。
今だからこそ、ある程度値段は高くても「これが欲しかったんだ」とオールドユーザーに言わせるようなCDラジカセを出してほしい、そう感じています。